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アジアのWebサービスってめっちゃおもろい。

Whats appがインドでデジタル決済を一部ユーザーに対して開始

インドでメッセンジャーアプリ『Whats App』に決済機能が一部ユーザーに開放されたようです。ちなみにインドのスマホユーザーのWhats App利用率は96%とのことで、多くのユーザーが普段のコミュニケーションで使っているアプリになるわけです。ここに決済機能が搭載され、さてインドのデジタル決済の起爆剤になりうるのか、話題になっているようです。

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インドのデジタル決済の起点とPaytmの躍動

ちなみに、インドではモディ首相が2016年に突然の『高額紙幣廃止』を宣言。決済の90%を現金で行っていて、当然この宣言はインド国内で大混乱を招いたとのことです。この流れを契機としてユーザー数を伸ばしたのが、『Paytm』というサービス。

Paytmはもともとプリペイド式モバイルリチャージサイトとしてサービスを開始。2015年に中国、アリババグループと大規模な資本提携を実現して、現在はアリペイのようなデジタルWalletへと進化を遂げている。ユーザーはPaytmのアプリをスマホにダウンロードして、オンラインサイトではIDで、リアル店舗ではQRコードで決済を行うスタイルで、前述の高額紙幣廃止を背景に爆発的にユーザー数を伸ばしている。(現時点でユーザー数は3億人)この先、中国のようにキャッシュレス環境が急速に構築されていくことだろう。

Whats App Payの登場とインドのデジタル決済への影響

前述のようにWhats Appは既に多くのインド人ユーザーに一般的に利用されているアプリになっている。また、中国のWeChat / WeChat Payが急速にアリペイのシェアを奪っている様を見ながら、インドのデジタル決済領域での成功イメージは出来上がっているものと思われます。日頃使っている(立ち上げている)アプリの方が、ユーザーへの送金や店頭決済の利用導線がシンプルになるので、相当数のシェアをPaytmから奪うのではという声もあがっているようです。

WeChatを見ているとよくわかりますが、メッセンジャーアプリに決済が搭載されると『お金を支払う』だけでない新たなイノベーションが起こる可能性があります。以下の動画にインドの市場が今後どのように進化していくかを読み取ることが出来ます。

 

この動画は2014年に制作されたWeChat Payのイメージ動画ですが、チャットと決済が組み合わさることにより、街の映画のOOHからチケットをQRで購入。購入後にチケットがチャットで送られてきて、映画館で提示する。や、病院の処方箋の番号をチャットで受け取って決済を済ませた後にお店で薬を受取るなどの利便性が実現されるわけです。お店側にとっても店頭での決済手段の代替ではなく、メッセージを通じたお店への集客や、CRMへの活用と行った世界も実現できるわけです。それもマーケティングオートメーション化されて、チャットボットで完結する。お店としても単なる決済以上の活用用途を見出すことが出来ますね。

アリババは中国でのWeChatとの激戦から開放されず、WeChatの影に怯えながらPaytmインドでも戦う羽目になってしまいましたが、現時点ではユーザー数において先行者利益を得ていることは事実です。始まったばかりのWhats app決済に対してどのような対抗策を講じるのかが注目されます。

かなり、混沌としてきたインドのデジタル決済ですが、今後の動向に目が離せません。アリババは東南アジアでも決済支配しようとアライアンスやM&Aを開始していますし、Whats Appもインドで一定の成功をおさめることができれば、マレーシア、シンガポール、インドネシアといった東南アジアにも同様のサービスを展開してくることでしょう。アジアが米中のデジタル決済の主戦場になっていくことは間違いありません。